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世の中を自分の尺度でひとくさり語り続ける。


by kyoumoinkyobiyori
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人間ウオッチング お婆さんは甘い物好き

 向かいの席には中年おばさんと肥ったおっさんが座っていた。おばさんがスマホをイジリながら、隣のおっさんに韓国語で語りかけると、おっさんは日本語で返事をした。するとおばさんは、韓国なまりの日本語で話だした。そして二人は人目も憚らず、いちゃつきだした、場末の韓国スナックかと、ひねくれ爺ちゃんは顔を背けた。北千住駅で二人は下車し、平穏な車内に戻った。昼ちょっと前に浅草駅に着いた。浅草で妻の買い物を終え、歩いていると、こじんまりした蕎麦屋を見つけた妻が蕎麦を食べようと言う。店に入った。カウンターだけの店で、まだ客はいなかった。メニューに「ぶっかけ湯葉蕎麦」があった。湯葉は久しぶりなので二人とも同じ湯葉を注文する事にした。大盛りにするか悩んだ妻が「量は多いですか」と尋ねると「人それぞれですから」と言われた。蕎麦の量を尋ねるのも如何なものかと思うが、人それぞれと答える店主も客商売に相応しくないと思った。世の中には見掛けと違った大食いもいるが、一般的に答えれば良いのに、それが出来ない人のようだ。まさに人それぞれ、なのだろう。蕎麦はそれなりに美味しかった。量は大食いでない妻としても、物足りないのか、「ちょっと歩くと、美味しいパン屋さんがあるから、そこでお茶を飲みましょう」と言った。店の前には客がちょっと並んでいた。「やっと見つけた」と中年の女性二人がやって来た。「蔵前から来た」と言っていたので、それなりに有名な店のようだ。30分程、待って席に着いた。蕎麦が消化された頃にサンドイッチが送り込まれ、胃も「なんでやの」と戸惑ったことだろう。昼食を終えた後、渋谷の画材屋さんに行った。「店の前で待ってて」と妻が言う。渋谷名物、忠犬ハチ公の様に健気に爺ちゃんは妻の買い物が終わるのを待ち続けた。買い物を済ませた妻と日本橋の三越デパートに行った。「予め予約しているので取って来るから、ここで待っててね」と言うと妻は売り場に向かった。待っていると、急に便意が、慌てて、トイレに、用を済ませ、所定の所に戻ると既に妻は戻っていた。そして妻が「貴方、荷物は」と言われ、慌ててトイレに戻ったが、用をしたトイレは既に誰かが使用していた。待っていたがなかなか、出て来ない。妻のお供で待つことは慣れているはずだが、それ以外は待つ事は苦手なひねくれ爺ちゃんは、待ちきれずトイレのドアをノックして「済みません、忘れ物が」と声を掛けるとドアが開き「どうしようかと、思っていました」と爺さんが荷物を手渡してくれた。非常時のさなか申し訳ありませんと頭を下げた。物を紛失するのは認知症状ではなく、若い頃から続いている症状なのです。妻は「ノックしたの」と呆れていた。食料品売り場での買い物が終わると荷物の袋が大量に、二人でベンチで一休みする事にした。そこには婆さんが溢れていた。婆さんの買い物の多くが菓子類らしく、あっちも、こっちもお菓子の話題で盛り上がっていた。日頃、「肥って、肥って」と嘆いている妻が「私よりみんな、ずっと肥ってるのに、甘い物あんなに買って」「お婆さんは甘いのが好きなのね」と何故か誇らしげに呟いていた。

by kyoumoinkyobiyori | 2018-10-25 16:45 | エッセー